SHIBUYA109 lab.が「Z世代のスマホに関する意識調査」を実施!
デジタルネイティブ、SNSネイティブとも呼ばれるZ世代。彼らにとって、スマホやSNSの存在はもはや当たり前のもの。
では、世の中にあふれるさまざまなSNSや、ありとあらゆる情報と、Z世代はどのように付き合っているのでしょうか。
若者マーケティング機関「SHIBUYA109 lab.」は、15~24歳のZ世代を対象に、外部調査パネルによるWEB調査とSHIBUYA109 lab.独自ネットワークによるインタビューから「Z世代のスマホに関する意識調査」を実施。
本記事ではその調査結果を詳しく紐解きます。
Z世代に人気の4大SNSとは?SNSで投稿する理由も
Q.あなたが利用しているSNSについて教えてください(複数回答)
「あなたが利用しているSNSについて教えてください」という問いでは、「LINE」(97.4%)、「Instagram」(81.7%)、「動画配信サービス」(81.3%)、「Twitter」(78.7%)という結果でした。
LINEはほとんどすべてのZ世代が利用しているSNSであることが分かります。
一方で、ミレニアル世代より上の世代で人気だった「Facebook」はわずか6.2%。比較的勢いのある「TikTok」もまだ42.4%にとどまっています。
Q.あなたがSNSで投稿する理由を教えてください(複数回答)
では、Z世代が「SNSで投稿する理由」を詳しく見ていきます。
Twitterのアカウントを持っている387名、Instagramのメインアカウントを持っている395名、Instagramのサブアカウントを持っている235名、TikTokのアカウントを持っている242名にそれぞれ調査しています。
Twitterでは「投稿はしない」(34.9%)が最も高く、投稿する理由としては「自分の好きな世界観や雰囲気を表現するため」(23.3%)「自分の思いや考えを整理するため」(14.7%)「自分の趣味や好きなことを知ってもらいたいため」(14.5%)がTOP3となっています。
一方Instagramのメインアカウントでは、「自分の思い出を記録するため」(29.6%)「自分の好きな世界観や雰囲気を表現するため」(26.6%)「自分の趣味や好きなことを知ってもらいたいため」(18.2%)がTOP3となり、「投稿しない」は26.1%となっています。
Instagramユーザーは、メインアカウントとサブアカウントで、それほど投稿する理由に差はありません。
しかし、サブアカウントでは「自分の好きな世界観や雰囲気を表現するため」(21.7%)と、メインアカウントに比べるとポイントが低いことや、「お互いの日常をシェアするのが友だちとのコミュニケーションの方法でもあるため」がメインアカウントよりも大きな理由となっていること、など、それぞれ少しずつ投稿する理由が違うことがわかります。
では続いて、その「サブアカウント」の運用方法について、さらに詳しく見ていきましょう。
平均アカウントは2個以上!Z世代がサブアカウントを保有する理由とは
Q.SNSのアカウント、いくつ持っていますか?
これは、それぞれのSNSで所有するアカウント数です。
Instagramが平均2.28個、Twitterが2.45個、TikTokが1.54個となり、アカウントは「複数利用」が当たり前になっています。
特にInstagramやTwitterでは、男性の平均アカウント数よりも女性の平均アカウント数のほうが多く、Z世代の女性はより「表の顔」としてのメインアカウントと、そうではないサブアカウントの使い分けが顕著だともいえます。
なぜ、Z世代はメインアカウントとサブアカウントを持つのでしょうか。
Q. Instagramにおける、メインアカウントとサブアカウントの違いに関して、あなたにあてはまるものを教えてください
メインアカウントとサブアカウントの使い分けに関しては、62.6%のZ世代が、「サブアカウントのほうがより気軽に投稿できる」と答えています。
グループインタビューではこんな意見が挙がっていました。
「Instagramアカウントは7つ持っている。内訳は、メインアカウント、サブアカウント、裏アカウント、ヲタ活などの趣味アカウントが3つ、学校で運営しているアカウント」
「Twitterは6つ、Instagramは6つでTikTokは3つアカウントがある」
「メインアカウントと、お菓子作りのアカウントがある。お菓子づくりが趣味で、作ったお菓子を投稿したり、お菓子作りアカウントをフォローしたりするために作成した」
趣味やフォローする人、投稿を共有したい範囲によって、細かいアカウントの使い分けが行われているようです。これだけの数を使いこなせるのにも驚きですよね。
さらに投稿方法にも違いがあるようです。
Instagramのメイン・サブアカウントの投稿方法の違い
グループインタビューでは、「同じ日に遊びに行った時の投稿でもメインアカウントでは綺麗な写真を載せて、サブアカウントでは変顔を載せている。サブアカウントではみんな面白い内容を載せている」「『授業終わった〜』といった、日記のような投稿や、誰かに自分の感情を伝えたい時の投稿はサブアカウントのストーリーに載せている」などの意見が聞かれました。
世界観を表現するためのメインアカウントと、自分の気持ちや思い出を記録するためのサブアカウント、というように、投稿ごとにこまかく共有範囲を設定しながら、上手にSNSを活用しているようです。
「親しい友だちのストーリーズはほかのストーリーズよりも優先的に見る」という回答は、48.9%にのぼります。
「投稿の見方」にも、身近な友達とのクローズドなやりとりを重視する傾向が垣間見えました。
Z世代が企業やブランドのSNSをフォローする基準は?
Q.あなたが企業やブランドのSNSアカウントをフォローする基準を教えてください(複数回答)
では逆に、オープンなアカウントである企業やブランドのSNSへの関わり方を見ていきましょう。
「企業やブランドのSNSアカウントをフォローする基準」では、「その企業やブランドが好き」(44.5%)、「その企業やブランドの最新情報が欲しい」(31.8%)が上位に挙がっています。「フォローしない」と答えた人は29.2%でした。
「割引などのメリットがある」(21.5%)など、自分にメリットがあるから、という理由でフォローしている人も一定数いそうです。
具体的には、以下のような意見が挙がっています。
「好きなブランドが新作商品の発売前に商品紹介ライブ配信をSNSでやっているので見ている。写真だけではわからない内容もあるし、質問もできるのでライブ配信が良い」
「お店の人気商品の売り切れや閉店情報を見るために飲食店のアカウントをフォローしている」
「ネイルサロンは行ったことないけれど、ネイルデザインを見るのが好きで、フォローしている」
SNSならではのリアルタイムな最新情報を得るためにフォローしたり、投稿の世界観に惹かれてフォローしたりと、Z世代それぞれが基準を持ってアカウントをフォローしていることがわかります。
デジタルネイティブなZ世代にも「SNS疲れ」が!その理由とは
アカウントを複数保有したり、自分自身である程度の目的を持って投稿を行ったり、投稿を見たり、そして企業アカウントをフォローしたりと、まさにSNSを使いこなすZ世代。
ひと昔前から「SNS疲れ」という言葉があり、SNS周りでたびたび話題になってきましたが、デジタルネイティブであるZ世代には「SNS疲れ」というものはあるのでしょうか。
Q.「SNS疲れ」に関してあなたにあてはまるものを教えてください
「SNS疲れを感じる」と回答したのは51.0%で、約半数がSNS疲れを感じていることがわかります。
しかし「SNSをやめたい」と思うのは28.4%となっており、グループインタビューでも「スマホは命」という回答が聞かれるなど、SNSに疲れることはあるものの、Z世代にとってSNSはなくてはならないものなんです。
Q. あなたはSNSのどういった点に「疲れ」を感じていますか(複数回答)
「SNS疲れ」を感じるポイントを聞くと、「返信への義務感」(43.3%)、「返信が来ないことへの不安」(35.6%)、「情報量の多さ」(29.9%)となり、主に返信することに関するわずらわしさが上位に挙がっていました。
一方でミレニアル世代より上で「SNS疲れ」の理由としてよく話題となってきた、「他人の生活を羨ましいと思ってしまうこと」は24.8%にとどまり、低い数値ではないものの、返信のわずらわしさよりも低いポイントとなっています。
実際にグループインタビューでも「LINEは返すのが疲れる。Instagramは義務じゃないから良い」という回答があったそうです。
冒頭でご紹介した通り、97%ものZ世代が利用しているLINE。既読が相手にわかってしまう上、交流を主軸としたSNSであるため、どうしても義務感を感じてしまう人が多いようです。
Q.「SNS疲れ対策」としてしていることを教えてください。(複数回答)
そんなZ世代も「鍵アカウントや親しい友だちで公開範囲を調整する」(29.9%)、「アカウントを複数使い分ける」(26.7%)、「SNSの閲覧を控える」(25.8%)など、SNSを上手く使い分けながら「SNS疲れ」を回避する様子が見られました。
「SNSにのめりこみすぎると、見たくないものまで見てしまうので適度な距離をとっている」「SNS疲れは全然ない。ただ飽きないように、複数のアカウントを切り替えて、巡回して投稿を見ている」など具体的な意見も挙がっています。
SHIBUYA109 lab.所長が分析する「アカウント使い分けの意図」とは
今回の調査にともない、SHIBUYA109 lab.所長である長田氏は次のように分析しています。
「アカウントを複数持ち、使い分ける理由は、SNSで緩くつながり続けることによる「SNS疲れ対策」だけでなく、他者から見たときの統一感を意識することでSNS上での交流におけるノイズをなくす意図も見られます」(長田氏)
この背景として、各アウトプットで表現する世界観をもとに共感できる人と繋がり、コミュニケーションを生みたいというモチベーションがあげられるそうです。
まずは、Z世代の大切にする世界観の理解から
調査の中で、「企業やブランドのSNSへの関わり方」を見たときに、「企業SNSはフォローしない」と答えた人が約3割にのぼりました。
SNSのタイムラインは、Z世代それぞれが大切にしている世界観や雰囲気の演出そのもの。フォローを躊躇うのも「ブランドに興味がないから」というわけではなく、「演出する世界観に企業の投稿が合わないから」という理由も一理ありそうです。
もし、あなたが今まさにSNS疲れしているZ世代なら、見たくないものや義務に感じてしまうことから離れられるように、どこか息を吐ける場所(アカウント)を作るのも、SNSのひとつの賢い使い方と言えるでしょう。
そしてもしSNSネイティブであるZ世代に、“刺さる”ようなSNSの使い方を模索している方であれば、まずはZ世代の大切にする世界観の理解から始め、彼らが「フォローしたい」と思わせるようなアカウント運営を目指してみてはいかがでしょうか。
【調査概要】
『Z世代のスマホに関する意識調査』
WEB調査
調査対象:一都三県在住の高校生・大学生・短大・専門学校生、なんらかのSNS利用者である15~24歳の男女465名(男性227名/女性238名)
調査期間:2023年2月
調査方法:インターネットによるアンケート調査
グループインタビュー
調査対象:女子高校生3名、女子大学・短大・専門4名の2グループ、合計7名
調査主体:SHIBUYA109 lab.調べ