社会に広がるSDGs、みんなは取り組めてる?
社会にどんどん広がるSDGs。エコバッグやサステナブルな商品、ジェンダー平等や働きがいなど、さまざまな観点から取り組みが求められていますよね。
年々世間にSDGsが浸透する中、Z世代のみんなはSDGsについてどう思っているのでしょうか。
SDGsへの意識高め!な人ももちろんいる中で、「あんまり興味ないんだけど…」という人も実はいらっしゃるかもしれませんね。
今回は、「SHIBUYA109 lab.」がZ世代を対象に行った「Z世代のSDGsと消費に関する意識調査」の調査結果をもとに、Z世代の本音を紐解きます。
首都圏に住む15歳~24歳の学生男女400名に対して行われたWEB調査と、男女8名のグループインタビューを通して得られた調査結果から見えてきたものとは?
本音が知りたい!Z世代のSDGsと消費に関する意識調査
Q. あなたは、社会的課題解決に対して興味関心がありますか?
まずはこんな質問から。
Z世代に「社会的課題の解決に対して興味関心がありますか?」と聞いたところ、「関心がある」が41.0%、「すごく関心がある」が15.8%となり、合わせて関心がある回答者は56.8%と半数以上になりました。
SHIBUYA109 lab.では、2020年にも同様の質問が行われており、その際にも関心がある回答者が59%となっていたことから、この2年間特に関心がある人が増えたわけでも大幅に減ったわけでもないことがわかったそうです。
Q. 社会的課題解決に対してのあなたの現状を教えてください
一方で「社会的課題解決に対してのあなたの現状を教えてください」という問いには、「すでに取り組んでいることがある」という回答が9.3%であるのに対し、「関心はあるが、具体的に取り組んでいることはない」が35.0%、「具体的に取り組んでいることはないが、情報収集をしている」という回答が27.0%となり、関心はあるものの行動に移せていない人もまだまだ多そうです。
そもそもみんな、SDGsに対してどのようなアクションを起こしているのでしょうか?
Q. SDGsや社会的課題の解決手段として、あなたが実施したことがあるものを教えてください
「SDGsや社会的課題の解決手段として、あなたが実施したことがあるものを教えてください」という質問の回答を見ていきましょう。
「エコバッグを使う・ビニール袋などを断る」45.3%
「マイボトルを使用する」31.5%
「廃棄を減らすために今あるものを長く大事に使う」23.8%
「フリマを活用する」22.8%
「SNSで情報収集する」21.3%
「環境によい商品を購入する」20.5%
と続きます。「特にやったことがない」と答えた人は24.8%にとどまりました。
Z世代は「SDGs」に対する意識や行動を過小評価している!?
先ほどの質問では、「社会的課題解決に対して具体的に取り組んでいる」という人は9.3%だけでした。しかし、この質問では7割以上が「SDGsや社会的課題の解決手段として、何か実施したことがある」と回答していることがわかります。
「社会的課題解決への具体的な取り組み」という言葉だけで見てしまうと、どうしても「難しそう」「私はできていないのではないか」と、自分の意識や行動を過小評価している傾向にある、とSHIBUYA109 lab.は分析しています。
実際マイバッグを持っていくのが当たり前になっていたり、マイボトルが習慣になっていたり、着なくなった服を友だちや家族とシェアしたりと、何気ないエコフレンドリーな取り組みが、日常になってしまっているZ世代。
あまりに自分の取り組みが日常の一部すぎて、具体的な取り組みなんて…と堅苦しく考えちゃう人もいるのかも。
SDGsに配慮した商品って購入する? 購入しない人の本音とは
Q. SDGsや社会的課題の観点から商品を購入したことはありますか
続いてこんな質問。「SDGsや社会的課題の観点から商品を購入したことはありますか?」
これに対して購入経験があると答えた人はほぼ半数の50.1%。そのうち28.3%が「意識して買ったことはないが、たまたまそうだった」と答えています。
グループインタビューでも「購入した後に容器がリサイクルできると知って、無意識にSDGsに貢献できていたことを知り、嬉しくなった」「似た商品が並んでいたらラベルレスを選ぶ」などの意見が挙げられています。
Q. あなたがSDGsや社会的課題の観点から商品を購入した理由を教えてください
実際にSDGsや社会的課題に配慮して商品を購入した理由には、こんな回答が上位に挙がっています。
「地球や社会に良いことをしたいから」45.5%
「節約になるから」32.0%
「似た商品で迷ったので、少しでも地域や社会に良い方がいいと思ったから」28.5%
「価格が安い・ポイントがもらえるから」21.5%
積極的にSDGs商品を選ぶほか、迷ったときの判断基準のひとつとしても使われているようです。
Q. SDGsや社会的課題の観点から商品を購入していない理由を教えてください
一方で、「SDGsや社会的課題に配慮した商品を購入していない理由」ではこんな意見も。
「値段が高いから」19.5%
「購入するメリットがよくわからないから」16.0%
「どこで売っているのかわからないから」12.5%
「自分の求めている機能がないから」10.5%
「購入するだけでは根本的な解決にならないような気がするから」10.5%
やはり自分のニーズにあった商品でないと別に購入しないという意見は当然ありますよね。「問題の根本的解決にはならないのではないか…」と、難しくSDGsについて考えるあまり、行動に移せていないという人もいるようです。
Q. SDGsや社会的課題に関して、どういった商品やイベントなら購入・参加しやすくなりますか
続いて「SDGsや社会的課題に関して、どういった商品やイベントなら購入・参加しやすくなりますか?」という質問。
「価格が安い・ポイントがもらえる」29.8%
「無理のない値段で始められる」29.3%
「なぜ地球や社会にいいのかしっかり説明されている」28.5%
「地球や社会への貢献度が分かりやすい」26.5%
「節約になる」24.3%
Z世代にとっては、社会的課題への取り組みに、金銭面でのメリットや、情報の透明性や丁寧な説明が求められていることがわかります。
一方「どんな工夫があっても商品やイベントに参加しない」が22.0%にのぼるなど、SDGsの商品やイベントに否定的な意見を持っている人も一定数いるようです。
「SDGs」を謳う商品が本当に全部いいものなの?
以下、「SDGsの商品を買わない」ということに対してグループインタビューで挙げられた意見です。
「露骨に環境に良くないものは買わないようにしているが、SDGsに配慮している商品も実情はわからないので、闇雲にSDGsに配慮した新しい商品を購入せず、いつも購入しているものを長く使うように意識している」
「SDGsは商品のアピールにもなるので、プロモーションに利用されているのでは?と考えることがある」
SDGsが悪いものだと思っているわけではないけれど、だからといって「本当にSDGsを謳う商品が全部いいもの?」というリテラシーの高さや慎重さがうかがえる結果になりました。
Z世代に広がる考え方、“どうせならサステナ”って?
さらに、SHIBUYA109 lab.とMNインターファッションの共同プロジェクトで行われているSDGsに関する部活動「SHIBUYA109 lab.EYES」では、ファッションを選ぶときの行動について、こんな意見が交わされています。
「サステナブルを優先するあまり、デザインを妥協すると、それは自分にとってはサステナブルではない」
「デザインで選んで実はサステナブルだった!が理想」
「サステナブルをトレンドで終わらせず、継続していくためにも、無理せず楽しみながら取り組みたい」
そのほか、その服本当に必要?と、服を買う時の購入基準を見直すだけでも、SDGsに繋がる、という意見が挙げられています。
SHIBUYA109 lab.の所長である長田氏は次のように分析しています。
「Z世代の消費実態は、予算や自身へのメリットとのバランスを加味し、全ての優先事項がクリアになったうえで“どうせならサステナ”くらいの感覚。SDGsや社会的課題に配慮していることは、あくまで消費における判断軸のうちのひとつとなっているのが現状です」(長田氏)
まさにその通り!と思う人も多いはず。
「SDGsに繋がるからこれを買おう」ではなくて、いつも買っている商品、気になるデザインの商品がサステナブルだったらうれしいし、似たような商品が並んでいるならエコなほうを選ぼうか…くらいの感覚のことのほうが多いですよね。
「SDGs」って言葉、みんなどういう印象を受ける?
Q. SDGs、サステナブル、エシカル。これらのワードについて、あなたの持っている印象をお答えください
最後にこんな質問です。「SDGs、サステナブル、エシカル。これらのワードについて、あなたの持っている印象をお答えください」
SDGsは「よく聞く・目にする」が納得の76.3%。「身近だと感じる」26.5%「自分が取り組むべきだと感じる」25.5%「ポジティブに感じる」が23.0%と続きます。
一方で「サステナブル」は「よく聞く・目にする」が46.8%「イメージはない・よくわからない」が37.5%。「エシカル」は、「よく聞く・目にする」が19.0%「イメージはない・よくわからない」が64.3%と、言葉を理解していない層が半数以上となりました。
そもそもSDGsは17の世界目標と169の達成基準からなる幅広い目標のこと。
おさらいすると、サステナブルは「持続可能」という意味で、エシカルは「倫理的な」「道徳的な」という意味を持つ単語です。
一人一人が環境のことを考えた「エシカルな行動」をとることで、「サステナブルな世界」を作っていくことができ、それが「SDGs」につながる、という構図なんです。
だからエコバッグを持つことも、環境に配慮した商品を買うことも、広くとらえれば「SDGs」「サステナブル」「エシカル」どれにも当てはまる行動なんです。同じー!?
今までは、“どうせならサステナ”。ではこれからは?
今までは、なんとなく環境によさそうなものを選んでいるものの、それが実際どんなふうに社会貢献できているのかわからなかったり。“どうせならサステナ”と、あまり意識せずに取り組んできたSDGs。
自分は何もできていない…と思っていても、もう実は少しずつSDGsなアクションを起こしている人も多いんです。
「SDGs」も「サステナブル」も「エシカル」も、よくわからないことばかり。もう一歩、取り組んでみたいと思う人は、まずは言葉の理解から深めてみるといいのかも。
もしかしたら「あっ、私がやってる行動ももしかしてSDGs?」って、気づけることがあるかもしれませんよ。
【調査概要】
1.『Z世代のSDGsと消費に関する意識調査』WEB調査
調査対象:東京・千葉・神奈川・埼玉に住む、15~24歳の高校生・大学生・短大・専門学校生の男女400名(男性200名、女性200名)
調査期間:2022年8月
調査方法:外部調査会社のアンケートパネルによるインターネット調査
調査主体:SHIBUYA109 lab.調べ
2.『Z世代のSDGsと消費に関する意識調査』SHIBUYA109 lab.による定性調査
調査対象:大学生 男女各4名(2グループに分けて調査)
調査方法:グループインタビュー
調査主体:SHIBUYA109 lab.調べ