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【ヘアスタイル】新発想シャンプー「Number.S」のSNS戦略とは?「#髪骨格シャンプー」という強いコピー開発にも注目

移り変わりの激しい、Z世代の美容トレンドをリサーチする企画。今回は『ザ パブリック オーガニック』などのブランドで知られるカラーズ株式会社から、2023年3月に発売された新ブランド『Number.S』を取り上げます。Z世代もターゲットにした商品開発と宣伝戦略について、商品開発に携わったNumber.S ブランドディレクターの岩佐さん、カラーズ株式会社 PR担当の小川さんにお話を伺いました。

更新 2023.05.08 公開日 2023.03.16
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Z世代のビューティートレンドの中でも、ヘアケアは激戦区

家で過ごす時間が増えたコロナ禍以降、ヘアケア市場は大きく伸びています。Z世代をターゲットにした新ブランドも多数あり、ユーザーニーズをとらえた商品開発やSNSを使ったプロモーションが気になるところ。
 
そんな中ローンチされた『Number.S』は、髪質への意識が高い世代を中心に、Z世代へも新しい切り口で髪の悩みにアプローチするブランド。その戦略をNumber.Sブランドディレクターの岩佐さん、カラーズ株式会社PR担当の小川さんに聞きました。

カラーズ株式会社が青山・骨董通りの自社に構えるラボには「コンテンポラリー ラボ」の文字が。現代的な髪悩み解消のための成分開発にも力を入れ、『Number.S』にもこだわりの成分を配合。

「髪骨格」シャンプーの誕生秘話

――Number.Sは「髪骨格」に着目したメソッドで作られたヘアケアアイテムということですが、開発の経緯を教えてください。

岩佐:もともと「骨格」というコンセプトありきで開発した商品ではなく「髪の悩みに本気で向き合うヘアケアを作ろう」とスタートしたものでした。そこで、髪質によって異なる内部構造と向き合い、うねりコントロールのシリーズは縮毛矯正をヒントに開発を行いました。そのため「髪の根本からケアできることが伝わるといいな」と思いつつ「デイリーケアでは悩みを解決できないと諦めている人」や「髪悩みはあるけれど自分の髪質がわからず商品が選べない人」にも届けたいと思い、その3つを考えた結果たどりついたキーワードが「髪骨格」でした。

――「髪骨格」というワードはどこから着想を得たのですか?

岩佐「SNSを見ていると『骨格診断』というワードがたくさん出てくるので、それが印象に残っていました。髪にも骨格診断のような指標があると、自分の髪質がわからない人でも診断しやすいのかなと。また「骨格」というワードは、考えていた3つの軸にも繋がる言葉なので選びました。

――開発にはどのくらいの時間をかけましたか?

岩佐:処方の開発には、約2年かかっています。うねり悩みが解消されるまで何度も改良を重ねました。

――コンセプトよりも開発が先というのには驚きました。

岩佐:今のトレンドを押さえながらも、しっかりとした商品を作るために、一般的な商品開発とは異なるプロセスを踏みました。

ナンバーエス うねりコントロール シャンプー 450mL ¥1,540/つめかえ 400mL ¥1,210、同 ヘアトリートメント 450g ¥1,540/つめかえ 400g ¥1,210

Z世代の気持ちは「憧れの対象のようになりたい」×「自分に似合うものを見つけたい」

――近年の美容におけるZ世代のトレンドにはどのような傾向があると思いますか?

岩佐:美容のトレンドというよりも、Z世代の特徴なのかもしれませんが、「憧れの対象のようになりたい」という気持ちと、「自分に本当に似合うものを見つけたい」という気持ちの両方があるように思います。今は、アイドルやSNSクリエイターなど憧れの対象も多様化していますが、彼らに近づくためには「この産毛をこうすると近い雰囲気になる」といったように細かいところまで分析し、発信している人が数多くいます。しかしその一方で、憧れは抱きつつも、「それって本当に自分に似合うのかな?」と葛藤しているようにも思うんです。だからこそ「骨格診断」がトレンドになるように、本当に自分に似合うものを見つけていきたいのかなと。

――確かにSNSにはアイドルの骨格や似合うスタイルを分析したものが出てきますね。

小川:昔は自分に似合いそうな商品をとにかく買ってみるという感じでしたが、今は本当に似合うものを細かく分析し、そのうえで「これだ!」というものを厳選して購入するという流れになっていると感じます。

岩佐:その分析を一般の方がしているというのもすごいところですよね。昔はそういったことはプロがやっていて、解決策もテクニックが必要なものが多かったのですが、今は一般の方が細かく分析し、解説しています。だからこそ似合うものを見つけやすくなり、余計にこだわりを強くしているような気がします。Number.Sもくせやうねりといった髪質や悩みのせいで、やりたい髪型をあきらめてしまうことがないように、ヘアケアで扱いやすい髪に仕上げて、なりたいスタイルを叶えるサポートができればと思っています。

今、商品を売るためには、複数のSNSでバズることが大切

Number.Sの開発ラボ

ーーZ世代は何をきっかけに美容アイテムを購入していると感じますか?

岩佐:やはりバズに勝るものはないと思いますね。今は「SNS買い」のようにSNSがトレンドの発信地になっていますが、ひとつのSNSだけで流行っているというのではなく、例えばTikTokで発信されたものがさらに別のSNSで広がっていくという傾向があります。そうやって拡散されたものは、より強く印象に残り、購入に繋がりやすいと思います。また、SNS上には、骨格診断のように細かい分析をして自分に似合うものを教えてくれる人もいます。Z世代が日常的に見ているSNSは、ワンストップで情報を得られて、商品情報もより多角的になっていると思います。

小川:例えば指原莉乃さんや田中みな実さんがYouTubeやInstagramで半年前に発信したことが今になってもバズっているということってありますよね。そんな感じで何度も拡散されていくと、より購入したい気持ちが高まるのだと思います。2022年でいうと、「純欲メイク」や「白湯メイク」というキーワードがTikTokで広がって、それが切り取られTwitterやInstagramで拡散されたことで爆発的に広がりました。複数のSNSで起こったバズは、購入への大きなきっかけになるのではないかと考えています。

岩佐:バズるとそれを買った人のコメントもたくさん出てきますよね。そうしたコメントが増えると、髪質や肌質が近い人からも発信される可能性が高くなり、より信頼度が上がり購入したくなるのかもしれません。

調査データだけではなく、SNSの生声を根気よくリサーチして、理解を深める

――Z世代の調査はどのように行っているんですか?

岩佐:調査データはいろいろ確認しつつも、SNSの生の声がやはり大事だと思います。SNSを地道に見ていくほうが、Z世代のリアルな気持ちがわかると感じているからです。そのため、「くせ毛」とSNSで検索し、出てくる投稿を丁寧に見ながら「くせ毛の人の本当の悩みはこんなところにあるんだ」といった感じで理解を深めています。

――時間をかけてSNSを見ていくことが、一番効果的な調査方法だということですね。普段からプライベートでもSNSはチェックされるんですか?

岩佐:そうですね。仕事でもプライベートでもSNSは常にチェックするようにしています。あらゆるニーズをキャッチするために、仕事や自分が好きな分野以外のトレンドも確認し、偏った情報収集にならないように意識しています。

ハッシュタグを指定したUGCが、今後、ラインアップ全体の底上げに

NumberSのシャンプーコンディショナー

――宣伝においては、今度どのような展開を予定していますか?

小川:ターゲット層や髪骨格というワード、今後実施したい髪骨格診断というコンテンツとの親和性を考慮し、メインのプロモーションはSNSで行う予定です。
 
――SNSでプロモーションしていくうえでのポイントはありますか?

小川:プロモーションしていくうえでお客様が発話しやすいコミュニケーションにすることを心がけています。そのために、お客様自身に「投稿したい」と思ってもらうためにも「髪骨格シャンプー」「縮毛補正発想」などのキャッチーなワードを組み込んでいます。商品を紹介しやすい切り口をブランド側から提案することで、自然とUGCの増加にもつながると考えています。狙うのは、うねりケアの第一想起アイテムが「髪骨格シャンプー」=Number.Sになることを目指しています。

岩佐:Number.Sは売り場がドラッグストアやバラエティショップなどのオフラインがメインなので、SNSと売り場とをどう連動させるかもポイントになると思っています。ブランドのコミュニケーションや世界観を統一することで「これってあのブランドだったんだ!」と思ってくれるような取り組みをしたいと考えています。

愛嬌のあるPR投稿には、伸びるパワーがある

――自ブランドのSNS投稿について、具体的にはどのようなものを考えていますか?

岩佐:ブランドの認知度を高めたり、愛着を持ってもらえるような投稿をしていきながらも、フォローしているのが楽しくなるようなちょっと遊び心のあるものにしたいと思っています。すでに投稿しているものの中でいうと、弊社のSNS担当が「こんなの描いてみました!」と自作のイラストを載せてくれたのですが、直感的にかわいいと思えるものでした。世界観が大きく異ならない取り組みであれば、こういう幅があるのもいいなと思っています。

――SNSでの露出は興味のある人には届きやすい反面、広く伝えるという意味では難しい側面もあります。そうしたことへの対策は?

岩佐:各SNS媒体、各クリエイターごとに抱えているファン層が異なります。たとえば美容クリエイターとのタイアップのみではなく、シーズンごとにアサインするクリエイターを変えていくことで、ターゲットを広げていくことができると考えています。

小川:一方で、近頃はPR投稿への嫌悪感もあるようで、「PRとついている投稿は見ない」という声が多いのも実情です。そのため、PR投稿と同様に一般の方が熱量をもって発信してくれるUGCも大事にしています。それによって波及効果が増すのではないでしょうか。

岩佐:タイアップでブランドに言わされている感のある投稿ってリアルさがなくてなんだかつまらないですよね。一方で広告と分かっていながらも、おもしろさや共感できる部分があると肯定的に受け入れられて伸びてくるPR投稿もありますよね。そのためにブランドは、クリエイターの個性を尊重しながらクリエイターの視点でPRコンテンツを作っていくことがとても大事だと思ってます。

発売日ありきではなく、本当に良い処方にこだわり、長く愛される商品に

――コロナ禍でおこもり美容ブームが到来し、ヘアケアアイテムも需要が伸びたようですね。

岩佐:そうですね、マスク生活になって髪に意識が行くようになり、ヘアケアに力を入れたり、ヘアアレンジでおしゃれを楽しんだりする人が増えたと思います。
 
――マスクといえば、マスク内の湿気がもれて、顔周りの髪がうねるという悩みを抱えている人も多いと思います。

岩佐:Number.Sはうねりを抑えることにこだわって開発しています。ヘアアレンジを楽しみたいのにうねりが出てしまうと、そのうねりを抑えるところから始めなければなりません。そこで、シャンプー、トリートメントで、そういったわずらわしさが少しでも楽になるといいなと思っています。
 
―Number.Sは2023年3月に「うねりコントロール」のシャンプーとヘアトリートメントが発売されたばかりです。今後はどのようなラインアップが発売される予定ですか?

岩佐:第一弾はくせ、うねりケアタイプなのですが、第二弾でも、多くの人が悩んでいる髪悩みをケアするタイプを準備中です。本当は2タイプを同時に発売したかったのですが、第二弾の仕上がりに私がもう少し粘りたくなり、満足のいく処方ができあがったタイミングで発売することにしました。

小川:本当にいいものができてから発売する姿勢は大切だと考えています。私自身も髪にうねりがあり、毎朝髪を濡らしてブローしてというのを行っていたのですが、Number.S「うねりコントロール」を使ってからそういった煩わしさが減りました。「髪骨格」という髪の内部構造に着目した、新発想のヘアケアアイテムなので、今後もご注目いただければうれしいです。

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