「ギムナジウムもの」とは

この記事では、ギムナジウムを舞台に描かれた漫画や小説を紹介します。
ギムナジウムとは、ヨーロッパの教育機関のことです。
ギムナジウム(Gymnasium)は、ドイツおよびその近隣諸国の、伝統的な7年制または9年制(10〜19歳)の大学進学を前提とした中等教育機関。
出典 dic.pixiv.net
古典語系、現代語系、数学・自然科学系がある。
日本では下記の影響で「全寮制男子校」として受け止められていることが多いが、寮制でないもの、男女共学も普通にある。

ギムナジウムという閉鎖的な空間で過ごす中でこそ生まれる友情や、思春期特有の心情が描かれているのがギムナジウムものの魅力です。
またこの記事では、「ギムナジウムもの」の作品が好きならば、きっとこれも好きなはず!という映画や漫画作品を、筆者の独断と偏見で選びました。ぜひ楽しんでみてください。
〜1〜『トーマの心臓』
トーマの心臓(小学館文庫)
¥730
萩尾望都(著)/小学館
ある冬の日、1人の少年が死んだ。その名はトーマ。彼の遺書により、事故死とされていた彼の死の原因が自分にあることを知りショックを受けるユリスモール(ユーリ)、彼を慰める友人のオスカー。ユーリの成長と彼の周りの人間関係を描いた感動作。
『トーマの心臓』は、ギムナジウムものの代表作とも呼ばれる少女漫画の名作です。
宗教や愛などの普遍的なテーマを美しい作画で描いているのが特徴で、1970年代の作品ながら現代に至るまで根強い人気を誇っています。何度読み返しても新たな発見があり、様々なことに気づかせてくれる作品です。
萩尾先生はこちらの作品の番外編・姉妹編も数冊描いており、ファン必見の内容となっています。
番外編・姉妹編も必見
11月のギムナジウム(小学館文庫)
¥607
萩尾望都(著)/小学館
『トーマの心臓』の原型となった「11月のギムナジウム」を含む短編集です。美麗なイラストとメルヘンな世界観に注目。
訪問者(小学館文庫)
¥607
萩尾望都(著)/小学館
『トーマの心臓』の人気キャラクター、オスカーの出生にまつわる秘密を描いた表題作と、ほか三編を収録した姉妹編。
〜2〜『MAMA』
MAMA 1(BUNCH COMICS)
¥648
売野機子(著)/新潮社
神に選ばれた「天使の歌声」を持つもののみが集う寄宿学校クワイア。本当の才能の持ち主には、その声の美しさが頂点に達した時に、多大なる名誉と死が与えられるという…。
才能を持って生まれた少年たちが、それぞれにバックグラウンドを抱えて「天使」になるため命をかけて才能に向き合うストーリー。美麗なイラストと、少年期ならではの不安定な心情を綿密に描いた耽美な世界観が魅力です。
〜3〜『Jの総て』
Jの総て(1)
¥0
中村明日美子(著)/太田出版
マリリン・モンローに憧れる、寄宿学校で生活をする美少年・J(ジェイ)の人生を全3巻に渡り描いた作品。
中村明日美子先生ならではの美しいイラストとともに、精神的に危うい美少年の成長と孤独を描いています。切なく苦しい展開ですが、自分らしくい続けようとするJの姿に感動。
〜4〜『車輪の下で』
車輪の下で(光文社古典新訳文庫)
¥0
ヘルマン・ヘッセ(著)松永美穂(訳)/光文社
周囲の期待に応えるため、猛勉強のすえ神学校に合格した少年ハンス。しかし神学校の厳しい学校生活に馴染むことができず…。ヘッセの自伝的な要素を含んだ青春小説。
思春期の苦悩や孤独を美しい自然の描写とともに描いた名作小説です。
厳しい神学校での生活に疲れ果てるハンスの姿は、現代社会のしがらみの中で生きる私たちとも重なります。
〜5〜『飛ぶ教室』
飛ぶ教室(岩波少年文庫)
¥734
エーリヒ・ケストナー(作)池田香代子(訳)/岩波書店
個性豊かな少年達それぞれの悩みや葛藤を寄宿学校を舞台に描く。
『飛ぶ教室』は、寄宿学校が舞台のドイツの児童文学です。児童向けの作品ですが、大人が読んでも面白く、心が温まる作品です。
ギムナジウムもの好きの方はぜひ読んでみてください。
▷きっとこれもお好き
映画『コーラス』
コーラス メモリアル・エディション [DVD]
¥3,900
フランスの美少年×合唱団の友情!(ギムナジウムものを愛する皆さんは、きっとたまらないはず…)
鑑賞後は温かい気持ちになること間違いなしの、ハートフルな感動作です。
戦後間もないフランスを舞台に、問題児たちが集まる寄宿舎に赴任してきた音楽教師と子どもたちとの合唱を通じた心温まる交流を描く。
出典 www.allcinema.net
映画『ルートヴィヒ』
ルートヴィヒ
¥3,219
19世紀のドイツ・バイエルン地方の王ルートヴィヒの生涯を描いた歴史的超大作。
若くして王となった彼が精神的に不安定になっていく姿をドイツの広大な美しい風景とともに描きます。
19世紀半ば、戦乱のヨーロッパ。15歳の時に観た歌劇『ローエングリン』に心奪われ、ワーグナーを崇拝するようになったルートヴィヒ2世。父の急死によってわずか18歳で王位に就く。すると、隣国との緊張状態が続く中、芸術こそが平和をもたらすと、周囲の反対を押し切ってワーグナーを宮廷に招き入れるルートヴィヒだったが…。
出典 www.allcinema.net
漫画『ライチ光クラブ』
ライチ☆光クラブ(f×COMICS)
¥1,382
東京グランギニョル(原案)古屋兎丸(著)/太田出版
工場地帯の片隅に建てられた「光クラブ」という名の秘密基地。そこで目を覚ました「機械」と1人の美少女にまつわる物語が今幕をあける…。
筆者の古屋兎丸先生が、高校生の時に見て衝撃を受けたという東京グランギニョルという劇団の演劇を漫画化した作品。近年若手俳優による舞台化、映画化もされました。
漫画『Aの劇場』『Bの劇場』
LE THÉÂTRE DE A ~Aの劇場~
¥2,469
中村明日美子(著)/インデックス・コミュニケーションズ
美麗なイラストで描かれる耽美な世界観の16つの短編。ハードカバー&オールカラーの豪華装丁版です。
LE THÉÂTRE DE B ~Bの劇場~
¥2,469
中村明日美子(著)/インデックス・コミュニケーションズ
切ない物語から心温まるメルヘンまで、読んでいてその世界観に浸ることのできる至高の物語が13つ詰まっています。A・Bセットで手に入れたい!
雑誌『ゴシック&ロリータバイブル』にて連載されていた漫画作品をまとめた傑作集です。
漫画というよりアートな美しさ!ファッション誌の連載だっただけに、細部まで丁寧に描かれたキャラクター達のファッションに注目です。
小説『恐るべき子供たち』
恐るべき子供たち(光文社古典新訳文庫)
¥670
コクトー(著)中条省平(翻訳)中条志穂(翻訳)/光文社
14歳のポールは、石の入った雪玉を憧れのダルジュロスに投げられて負傷する。ポールを気遣う友人のジェラール、姉のエリザベート、ダルジュロスにそっくりの少女、アガート。4人の少年少女の交友関係を描く。
フランスの詩人・小説家・劇作家・映画作家のジャン・コクトーの代表作です。
『トーマの心臓』の萩尾望都先生のよってコミカライズもされています。
耽美な世界観に酔いしれて

ギムナジウムを舞台とした漫画と小説、「ギムナジウムもの」が好きな方にぜひオススメしたい映画や漫画・小説を紹介しました。
閉鎖的な空間で思春期を過ごす少年達の、不安定で儚く美しい魅力を描いているのがギムナジウムものの魅力。その耽美な世界観に酔いしれてください。