女性のシルエット
伊東ししゃもアイコン伊東 ししゃも
お気に入り

男女不平等を感じるのはどんな時?「日本社会のジェンダー」への意識調査から見えること

全国の15歳〜69歳の男女を対象に行われた「日本社会のジェンダーに関するアンケート」の結果をご紹介します。これは生活者起点のリサーチ&マーケティング支援を行なう「ネオマーケティング」が、宮城大学の「経営情報管理」を受講した学生と共同で実施した調査です。結果をひも解くと、男女別や年代別で、「どんな時に不平等を感じるか」といった違いなど、ジェンダー問題への意識の差が見えてきました。今回はその結果を一挙ご紹介します。

更新 2021.09.18 公開日 2021.08.22
目次 もっと見る

日本って「男女平等」なの?ジェンダーに関するアンケート調査

みなさんは、日本が「男女平等」だと思いますか?

実は日本は「男女平等」の面で世界153か国中、120位という順位に。

世界経済フォーラム(WEF)が、各国のジェンダー不平等状況を分析した「世界ジェンダー・ギャップ報告書(Global Gender Gap Report)2021」で、そんな報告がされたのは2021年3月。つい最近のことですね。

まだまだ男女平等とは言えない世の中で、実際に日本で暮らすみなさんは、どんな時に男女不平等を感じたり、どんな事柄にジェンダーの問題を感じたりしているのでしょうか?

そこでこの記事では、全国の15歳〜69歳の男女を対象に行われた「日本社会のジェンダーに関するアンケート」の調査結果をもとに、日本のジェンダー意識についてご紹介します。

これは、生活者起点のリサーチ&マーケティング支援を行なう「ネオマーケティング」が、宮城大学の「経営情報管理」を受講した学生と共同で実施した調査で、男女別・年代別で、ジェンダーに関する意識の違いが見えてきました。

あなた自身の意識と照らし合わせながら、一緒にチェックしてみてくださいね。

「日本社会のジェンダーに関するアンケート」調査結果

「世界153カ国中、120位」という結果をどう思う?

まずそもそも、「日本の男女平等が、世界153カ国中120位」という結果を、みなさんはどう捉えているのでしょうか。アンケート結果によれば、どの年代も約6割近い人が「妥当だと思う」と答えています。

MERY世代である20代は男女ともに約2割が「高すぎる・高い」と答えており、「もっと日本の順位は下なのでは?もっと男女は不平等なのでは?」と思っている人も多いことがわかりました。

一方で、男女関係なく年齢が上がるごとに「低い・低すぎる」と感じている人の割合も増えています。年齢が高い人は今の日本が「男女平等」だと思っている人も少なからずいるようです。

日本社会って男性優位?

「日本社会の男女平等」に関する調査の結果では、すべての年代において8割近くの女性が「男性優位・どちらかと言えば男性優位」と感じています。

一方で男性に関しては、年代が低いほど「男性優位だと思っていない」結果があらわれているのが興味深いですね。

では実際、どんなところに男女の不平等を感じているのでしょうか。

発言や言葉遣いに潜むジェンダー

1: 「男だから…」「女としての…」という性別を強調する言葉

まずは言葉遣いから。「男だから…」「女としての…」といった性別を強調する言葉に対し、疑問を感じるかどうかについて調べた結果です。

これによれば、女性は世代問わず疑問に感じている人が多く、男性は年齢が若ければ若いほど疑問に感じる人が多いという結果が見えてきました。

2:「イクメン」という言葉、どう思う?

また、一時期話題となり、今も根強く残る「イクメン」という言葉。これについても、若い女性の5割以上が「疑問を感じる」と回答しています。

肯定的に使われることもある言葉ですが、「男性が育児に関与することが特別」だと認識されている背景に疑問を感じている人も多そうです。

3:「女性の社会進出」という言葉、どう思う?

これもよく聞く言葉ですね。「女性の社会進出」。女性の10代〜30代の50%が「疑問を感じる」と答えており、他と比較して高い割合となっていることがわかります。

この言葉にも、そもそも女性の就業がさまざまな点で制約を受けている日本社会の様子が伺えます。

あなたはこれらの言葉に疑問を感じることはありますか?

家庭内で感じる、男女による不平等

1:「家事」はやっぱり女性の役割?

よく言われているように、やはり「家事」に関しては、女性が不平等を感じている人がより多いようです。一方で、男性は女性に比べれば、全体的に不平等を感じてはいないものの、「慣習・しきたり」に不平等を感じる人が最も多いようですね。

一方男性が「家事」に不平等を感じていないのは、「平等」だと感じている人が多いというよりも「今の状況が当たり前」だと思っている人が多いのかもしれません。

2:「男性は家事や育児を手伝うべき」という考え方をとう思う?

「男性は家事や育児を手伝うべき」という考え方については、全体的に肯定な意見も多いようです。

一方で「手伝う」というワード自体が、家事・育児の主担当が女性だという前提なのではないか? という意見も出ているようですよ。

3:子育てはやっぱり母親の方が向いている?

「子育てにはやはり母親の方が向いている」という意見については、男女ともに高い年代の方が肯定的な割合が多く、特に男性の50~60代で肯定的な割合が多くなっています。

一方で20代女性は「そう思う・ややそう思う」と答えた人が18%と低く、そう思わないと答えた人が44%となっていることからも、子育てに関するジェンダー問題の意識を強く持っていそうです。

ただ年齢が高い人は「実際に子育てをしてきた」世代でもあるので、実感として「母親のほうが子育てに向いている」と思う人が多いのかも…。なかなかジェンダーの問題だけで片付けられる話でもないのかもしれません。

職場で感じる、男女による不平等

1:職場で「男女不平等」をどんなところに感じているの?

今度は「職場」での男女の不平等にスポットライトを当ててみましょう。

「給与・待遇」「昇進のしやすさ」については、女性の方が多く不平等を感じている一方で、「仕事の重さ」「仕事の量」「上司からの厳しさ」などは、男性の方が多く不平等を感じると回答しているのがわかります。

立場が良くなればなるほど「立場による不平等」を感じる一方で、「良い立場に立てない」という男女の不平等も存在しているのが、今の社会の現状のようです。

2:職場環境はちゃんと男女平等になっている?

職場における有休、出産育児休暇、更に女性の役員登用についての結果です。

「男性の出産育児休暇取得」については、進んでいると回答した方が2割ほどと、まだまだ推進段階であることがわかります。「女性の正社員雇用」について進んでいると回答した方の割合も5割を切る結果となり、役職者や役員登用は更に低い割合となっています。

有給に関しては男性のほうが取りにくい、と感じている人がやや多い様子。

育休取得の結果と合わせて見れば「家庭・育児のために有給を取るのが難しい」現状もあるのかもしれませんし、立場への不平等との結果と合わせて見れば「立場によって有給が取りにくい」、そんな可能性が見えてくるのかもしれませんね。

男女の外見に関する意識

1:男女の見た目、どう思う?

最後にこちらは「男女の外見に関する意識調査」の結果です。

男女関係なく、したい人がメイクをすればいい、男女関係なく好きな格好をすればいい、人の外見について他人が言及するべきでないといった、「男女」という考え方に縛られず、個人が望むようにすればいい、という考えが支持を集めているようですね。

2:男女年代別に見る「女性はマナーとしてメイクをするべき?」

男女年代別に「女性はマナーとしてメイクをするべきか」という問いに関する結果を見ると、すべての男女年代において、そう思わないと回答した方の割合が、そう思うと回答した方を上回っています。

特に20代女性は「そう思わない・あまりそう思わない」と答えた人が約5割に上るなど、徐々にメイクに対する考え方も変わってきているようですね。

MERY世代のみんなはどう思う?

3:「男女関係なく好きな格好をするべき」という考え方、どう思う?

「男女関係なく好きな格好をするべき」という考えについては、全年代において、男性より女性の方が肯定的だという結果になっています。

特に10・20代女性は7割の人が肯定的に見ていますよね。今やそんなの当たり前!という人も多いのでは?

あらためて、「男女平等」になるにはどうしたらいいと思う?

家庭のこと、仕事のこと、見た目のこと。

男女や年代それぞれで「男女不平等」だなと感じるところはまちまちで、「今の状況=不平等ではない」と思ってしまっている人も多い現状が見えてきています。ジェンダーの問題を解決していくためには、まずは、ひとつひとつを「問題」として提起していくことが大事なのかもしれません。

あなたはどんなところに「男女不平等」を感じますか? そして、あらためて「男女平等」になるためには、どんなことから始めればいいと思いますか?

【調査概要】
『日本社会のジェンダーに関するアンケート』
調査対象:アンケートサイト「アイリサーチ」登録モニターのうち、全国の15〜69歳の男女1,000名
調査期間:2021年6月14日(月)〜6月15日(火)
調査方法:WEBアンケート方式

spacer

RELATED