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2022春夏トレンドをひもとく3つのキーワードは「カラフル」「肌見せ」「スポーティ」!

鮮やかな色・柄やフレッシュな着こなしなど、「ジョイフル」なアイテムがたくさん登場している2022年春夏ファッション。スペインのブランド、デシグアルのコレクションをもとに、ファッションジャーナリスト・宮田理江さんが2022年の春夏トレンドを解説します。

更新 2022.02.02 公開日 2022.02.03
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楽しく陽気な「Y2Kファッション」に注目

カラフルコーデBASE

2022年春夏シーズンのおしゃれトレンドは「ジョイフル」がテーマになりそうです。その意味はハッピーのさらに上。実際には不安な状況が続いているけれど、ポジティブなファッションで、気持ちを盛り上げていこうというトレンドです。

実際には鮮やかな色・柄やフレッシュな着こなしなどが盛りだくさんに提案されています。今回は主なトレンドをざっと大づかみにご案内します。

春夏トレンドを象徴するキーワードが「Y2K」。「Y」は「Year(年)」、「2K」は「2000」という意味で、「西暦2000年」を指します。その頃に勢いづいたLAセレブ風の装いがカムバック。具体的にはミニ丈ボトムスやデニム、厚底靴など。元気感が高かった当時のパワーをもらい受けるかのような装いが世界のZ世代(10~20代)から支持されています。

「Y2K」をはじめとする、ジョイフルトレンドが打ち出された理由は、現実の世の中に心配事が多いから。ようやくトンネルの出口が見え始めたタイミングだけに、ファッションで「明るい未来」を呼び込みたいという意識がうかがえます。

Desigual(デシグアル) の2022年春夏コレクションからトレンドを解説します

そういったムードを以前から大事にしているブランドがスペイン・バルセロナ発の「Desigual(デシグアル)」。22年春夏は「Life is Awesome(人生は素晴らしい)」のメッセージを掲げ、気持ちが弾むようなおしゃれを提案しています。今回は「デシグアル」の陽気でエネルギッシュなルックを参考に、春夏トレンドを読み解いていきます。

肌見せは健やかヘルシーに!デニムやグリーン、手編みも新トレンド

新シーズンもデニムはトレンド素材です。でも、例年と少し違うのは、装飾性がアップするところ。服そのものと着こなしの両面で、デニムがぐっと「おしゃれ見え」します。着こなしで取り入れたい急上昇トレンドが「Y2K」のアイコン的な「腹チラ見せ」。短め丈トップスの裾下から、ヘルシーに素肌をのぞかせる演出です。

たとえば、上下をそろえる「デニムonデニム」はデニムトレンドを最大限に生かせる組み合わせ。バラの花びら刺繍があちこちに施されたクラフト感と華やかさを感じるデニムが新鮮。シャツ裾をこぶ結びにしてお腹を見せれば、手持ちのトップスを、手軽にクロップド丈へスイッチできます。

「腹チラ見せ」以外にもヌーディーな着こなしが盛り上がります。スカートはロング丈での大胆なスリットが仕掛けどころに。膝の上あたりから脚が見えるロングスリットは、縦長イメージが強まって、スタイルアップ効果も期待できます。

エコ意識が一段と高まる中、積極的に取り入れたい色がグリーン。植物柄と組み合わせると、ナチュラルムードが濃くなります。手仕事感が宿るクロシェ(かぎ針)編みニットは、ヒューマンなたたずまいが魅力。ゆとりを持っておしゃれと向き合う「スローファッション」の流れにもなじみます。裾ボタンを開けて、お腹周りのあたりをチラ見せすれば、ヘルシーセクシーな装いに仕上がります。

ミニ丈ボトムスは「きれいめスポーティ」に。ヒッピールックも復活

「Y2K」トレンドの最重要ピースはミニ丈ボトムスです。ミニスカートとショートパンツが2大主役アイテム。どちらも幼さやガーリー感を遠ざけて、大人っぽく爽やかドレッシーにまとうのが22年流です。

スウェットトップスとショートパンツでのセットアップコーデです。パンツ丈が短いのに、子どもっぽく見えないのは、全体に配したサマーツイードのおかげ。上品な風合いが全体を格上げ。スウェットの表情が生きて、「きれいめスポーティー」のムードに仕上がりました。

ディテールの面で見逃せないのは、長めに垂らすフリンジ(短冊状の細い布飾り)。袖や裾に配して、動きと涼やかさをアピールするのが主な使い道。体を動かすたびに揺れるから、エアリーな雰囲気が生まれます。特にドラマティックなロングフリンジが今シーズンの気分です。

トップスとスカート両方の裾のロングフリンジが揺らめき、素足をさりげなくカモフラージュしてくれるのもフリンジ使いのよさ。フリンジは1970年代のヒッピーが好んだことから、当時の自由でオープンな気分も印象づけるディテール。環境意識を先取りしていた点でも、ヒッピーは再評価が進んでいます。

今ではボーホー(ボヘミアン)とも呼ばれるこのスタイルはリラクシングでのどか。今、求められている気分を象徴しています。

カラフルをまとってアートを着る。見た目も気持ちもパワフルにときめいて

22年春夏に最も盛り上がりそうなカラートレンドは「カラフル」。鮮やかなマルチカラーの装いは、自分がポジティブな気分になれるだけではなく、周りの気持ちまでも弾ませてくれそう。注目カラーはイエロー(オレンジ)とパープルです。

ロマンチックな花柄やトロピカルな植物モチーフなど、様々な柄で全身をポジティブに彩りました。ダイバーシティー(多様性)も感じさせる色・柄ミックスは、自由度が期待される今の時代にマッチ。パープル×オレンジという、キーカラー同士のスタイリングからパワーがもらえそうです。

大きな絵柄を服に迎えて、朗らかなムードや強めのインパクトをまとうのも、前向き志向が強まる22年春夏の傾向です。現代アート風やファニーモチーフ、力強いカラーなどの組み合わせが装いに勢いを乗せてくれます。

「クリスチャン・ラクロワ×ディズニー×デシグアル」のスペシャルコラボレーションで、ミッキーマウスが登場。アートを大胆に生かしたトップスは、ポップな色使いもチアフルです。

程よくシックにまとまっているのは、ベースカラーの黒が引き締め役を務めているから。クールでキュートなグッドバランスの装いを参考にしてみて。

◆楽しく陽気なファッションで「人生を楽しもう」!

ダイバーシティーや個性を重んじる流れが一段と強まってきました。「デシグアル」は以前から「It's not the same(同じではない)」をスローガンに掲げ、ポップで大胆なおしゃれを通じた「自分らしさ」の表現を押し広げています。

「ポスト・コロナ」への期待感が22年春夏のおしゃれにも写り込んでいます。実際の先行きにはまだ不透明感が残りますが、ファッションは常に先を行きたがる性格を持つから、トレンドの気分は強めの上昇気流。「人生を楽しもう」という「デシグアル」の提案に乗っかって、自分らしくプレイフルな着こなしを楽しんでみてくださいね。

ファッションジャーナリスト:宮田理江さん

Profile:10を超えるメディアで連載を持つファッションジャーナリスト、ファッションディレクター。新聞からSNSまで多彩なメディアを通じて海外・国内コレクションのリポートや最新トレンドの紹介などを発信。次シーズンのファッション予測、着こなしテクニックの解説、おしゃれ市場の動向分析、ファッション関連ニュースの執筆、映画のファッション読み解きなどを多面的に手掛けている。著書『おしゃれの近道』『もっとおしゃれの近道』(ともに学研パブリッシング刊)は、中国、台湾、タイでも翻訳発売されている。

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