日本の公的年金は『二階建て』?
成人を迎えると“年金”の存在が身近になってきますよね。
日本の公的年金である国民年金と厚生年金は、『二階建て』という表現を用いられることが多いんです。
この二階建てとは、一体どのような意味なのでしょうか?
今回は、国民年金と厚生年金の関係性や、切り替え手続きの方法など、年金にまつわる知っておきたい基礎知識をご紹介します◎
公的年金のベースとなる「国民年金」
日本の公的年金のベースとなっているのが、国民年金です。これは日本に在住している、20歳以上60歳未満までの人が全員加入するもので、例外はありません。年齢や収入にかかわらず、すべての人が同じ額の保険料を支払います。
保険料を納めて受給条件を満たしていれば、65歳以上になったときに老齢基礎年金の受給を申請することが可能。受け取れる年金額は、納付した月数に応じて変動する方式で、40年間で納めていない月があれば、その分受給額は少なくなります。
また、加入期間中に所定の障害状態になった場合には障害基礎年金、亡くなった場合には亡くなった人に生計を維持されていた遺族が遺族基礎年金として受け取れる仕組みです。
上乗せ部分となる「厚生年金」
公務員や企業で働く会社員の場合、厚生年金にも加入します。国民年金は全員加入ですが、それに加えて厚生年金が上乗せされる形となるため、この仕組みを『二階建て』と表現しているんですね。
国民年金は全員が一律の保険料ですが、厚生年金の保険料は一律ではありません。収入に応じて変動し、支払った保険料が多ければ、将来支給される年金額も多くなります。なお、厚生年金の保険料は全額自己負担ではなく、勤め先の企業との折半です。
厚生年金の加入によって受給できる年金には、老齢厚生年金・障害厚生年金・遺族厚生年金があります。
加入する年金は働き方などによる
国民年金は働き方などによって、3種類に分けられます。第1号被保険者に分類されるのは自営業やフリーター、20歳以上の学生などです。そして、第2号被保険者は会社員や公務員などで、このタイプには厚生年金が上乗せされます。
第3号被保険者は、第2号被保険者の配偶者のうち、年収が130万円未満の人です。年収が130万円以上の場合は、第1号被保険者になります。
第1号被保険者は納付書により納付し、第2号被保険者は国民年金・厚生年金を合わせて給料から天引きされます。第3号被保険者の場合は、配偶者の扶養という扱いなので、自身で保険料を納める必要はありません。
どんなときに切り替えをするの?
国民年金と厚生年金があるのはわかりましたが、どのようなときに切り替えが必要なのでしょうか?
切り替えが必要となるタイミングやライフイベントについて、具体的に見ていきましょう!
就職・転職・退職するとき
就職や転職、退職をするときには、年金の切り替えが発生します。会社に勤めている間は厚生年金、それ以外は国民年金です。学生から新たに就職する場合には厚生年金への切り替え、企業を退職する場合には国民年金への切り替えをします。
転職の際は厚生年金から厚生年金への変更のため、手続きが不要と考える人もいるかもしれませんね。しかし、前の会社の退職日と次の会社の入社日との関係によっては、手続きが必要となるケースがあります。
退職後、次の会社への入社までに1日でも間が空く場合には、その間の国民年金の加入手続きが必要になるのです。
個人事業主や無職になるとき
勤めていた会社を辞めて個人事業主になるときには、厚生年金から国民年金への切り替え手続きが必要です。個人事業主は第1号被保険者なので、厚生年金の上乗せがありません。
退職後にそのまま無職となる場合も、個人事業主と同様に第1号被保険者となります。会社を辞めるときには、年金や健康保険の切り替えなど、さまざまな手続きが必要です。期日が決まっているものも多いため、漏れなく手続きするようにしましょう!
配偶者の扶養に入るとき
会社勤めをしている配偶者の扶養に入るときには、第3号被保険者になるための手続きが必要です。手続きをする先は配偶者の勤務先で、申請書類や住民票などを提出します。
なお、第3号被保険者は年収130万円未満であることが条件のため、これを超えると扶養に入ることができません。超えてしまった場合は扶養から外れることになり、第1号被保険者への変更手続きが必要に。
また、配偶者が会社を退職したときにも同様に、第1号被保険者に変更する必要があることを覚えておいてくださいね。
切り替え手続きはどうやるの?
年金の切り替えが必要になったとき、どのように手続きをすればよいのでしょうか?
それぞれの手続き方法について見ていきましょう♪
国民年金から厚生年金の場合
国民年金から厚生年金への切り替えは、基本的に勤め先で行われるため、自分でする手続きはありません。
会社での手続きが完了すると、会社から年金事務所へ厚生年金に加入した旨が通知されます。その通知をもって国民年金を脱退する形になるため、手続きも不要です。
なお、厚生年金の加入手続きには、年金手帳や基礎年金番号通知書が必要になります。就職したときは年金手帳の提出を求められるのが一般的なので、紛失しないように気をつけてくださいね。
年金保険料を前納していた場合は
国民年金は保険料の前納ができるため、就職した年の保険料を前払いしている人もいるかもしれません。また、保険料を口座振替にしている場合でも、切り替えのタイミングによっては、国民年金の保険料が引き落とされてしまう可能性があります。
その場合には、厚生年金の加入手続きが完了した後に、年金事務所から保険料の還付についての案内書が送付されます。案内に従って手続きすれば、厚生年金加入以降の保険料は返還されるため、一安心。
厚生年金から国民年金の場合
厚生年金から国民年金への切り替えですることは、厚生年金の脱退と国民年金の加入に分けられます。厚生年金の脱退については、退職の際に会社が手続きをしてくれるため、特に自分で行うことはありません。
しかし、国民年金の加入は、自分で手続きする必要があります。退職日の翌日から14日以内に、居住地の市区町村役場で手続きしましょう!
手続きには年金手帳や離職票、身分証明書などが必要です。年金手帳は在職中に会社が預かっているケースもあるため、その場合は忘れずに返却してもらってくださいね。
年金を切り替える際の注意点をcheck!
年金の加入や切り替えについて、普段はあまり意識することがないかもしれません。しかし、必要なときには切り替えをしておかないと、後々不利益になることも…。
切り替えをしなかったときには、実際どのような問題があるのでしょうか?
国民年金への切り替えを忘れない
厚生年金への切り替えと違って、国民年金への切り替えは自分で手続きをする必要があります。切り替えを忘れてしまうと、年金の未払い期間が発生し、将来の年金額が少なくなってしまうかもしれません。
また、切り替えしないままになっていると、障害年金や遺族年金を受け取れなくなる可能性もあります。会社を退職して厚生年金が適用されなくなったときには、切り替えの手続きを忘れないようにしてくださいね。
保険料の未納期間や、後からの納付が可能な月数や金額については、『ねんきんネット』で確認できますよ◎
滞納すると財産を差し押さえられることも
国民年金の保険料は、基本的に翌月末日が納付期限となっています。この期限を過ぎても納付せずに延滞を続けた場合、最終的には財産を差し押さえられてしまうかもしれません…。
保険料を納付期限までに納めなかった場合、まずは電話や書面などで通知されます。最終的に、送付された催告状に記載された期限までに保険料を納めない場合には、延滞金が発生する仕組み。
そして、十分な所得があるにもかかわらず、保険料の支払いに応じないケースでは、財産の調査が行われます。その結果、不動産や債権などが差し押さえられる可能性もあるのです。
保険料の支払いに関する“気になる疑問”
国民年金や厚生年金の保険料を支払うにあたり、問題が発生するケースがあります。
その場合にはどのように対応すればよいのか、疑問点について解説していきます!
月の途中で切り替えたらどちらに支払う?
月の途中で就職したり、会社を辞めたりして、厚生年金と国民年金の切り替えが発生することもあるでしょう。このような月の途中での変更の場合は、月末時点でどちらの年金に加入しているかによって、支払い先が決まります。
月末時点で会社に所属していない場合は国民年金、所属している場合は厚生年金です。なお、転職する際、1か月の中で短期間の離職期間がある場合は、その間の国民年金の加入手続きを忘れないようにしてくださいね。
支払いが難しいときはどうしたらよい?
生活に余裕がなく、保険料の支払いが難しい人もいるでしょう。家計の状況からどうしても支払いが難しい場合には、免除や猶予といった救済措置が利用できます。
本人や配偶者の所得に応じて、全額、3/4、半額、1/4いずれかの免除を受けられます。免除を受けている期間も受給資格期間に算入されますが、年金受給額は減額されるため注意してくださいね。
なお、保険料の納付猶予を受けてから10年以内であれば、さかのぼって納めることができます。ただし、納付猶予を受けた翌年度から3年度目以降になると保険料が加算されてしまうため、できるだけ早めに納めるのがおすすめです。
年金の切り替えは忘れずに!
日本の年金は、国内に住所がある人は全員加入する義務があるものです。若いうちは意識することが少ないかもしれませんが、年を取ったときや障害を負ったときなどには、年金の存在が助けになることも◎
将来年金をきちんと受け取るためには、必要なときに年金の切り替えを確実に行っておくことは重要です。働き方が変わったときには、年金の種類が変わる可能性を考え、切り替えの手続きを忘れないようにしてくださいね。
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