ロスフラワーを救うフラワーサイクリスト・髙橋 響さんにインタビュー!
昨年コロナ禍で多くのイベントが自粛となり、注目されるようになったことのひとつに「フラワーロス」があります。
もちろん今に始まったことではありませんが、生花店や式場などで役目を終えたお花は、まだ美しく咲いていても廃棄されてしまう現状……。
そんな廃棄予定の花「ロスフラワー」を回収してドライフラワーにすることで、新たな命を吹き込む「フラワーサイクリスト」に注目が集まっています。
フラワーサイクリストって、一体何をするお仕事? フラワーロスはどうしたら解消されるの?
そんな疑問に答えてもらうべく、今回は、フラワーサイクリストの第一人者が代表を務める株式会社RINで、アンバサダーとして活動する髙橋 響さんにお話を伺いました。
この世界に飛び込んで知った「ロスフラワー」
「物心ついてからの最初の夢はお花屋さん! なので、もともとお花は好きでしたが、大人になって仕事にしようと考えたことはありませんでした」
そう話す髙橋さん。
大学卒業後、転職を繰り返すこと4回。“絶対にこれがやりたい”といった軸が見つからず、自身ではこのときを「キャリア迷子時代」と振り返ります。
しかし昨年6月、フラワーサイクリスト養成スクール開催の告知が目に留まり、直感で“これだ”と感じたといいます。
「私は、岩手県出身なのですが、2年程前に東北の課題解決に取り組むプロジェクト活動(東北プロボノプロジェクト)に参加して、自分も地域とコミュニティーを繋いでいくようなことがしたいと思っていました。とはいえ、何で繋いでいく? ということをずっと探していて……。お花なら繋がるきっかけになりやすいとピンときました」
そして、髙橋さんはスクールで学びはじめ「ロスフラワー」について知り、深く考えることになったのです。
ロスフラワーがアクセサリーやミニブーケに変身♡
昨年のクリスマスシーズン、「ラフォーレ原宿」では、サステナビリティをテーマに廃棄されるはずだったロスフラワーを使った装飾が施されました。
エントランスの大きな装飾は株式会社RINがディレクションし、店内の装飾や作品の販売はアンバサダーが担当。
髙橋さんは、立ち上げた自身のブランド「きらくにフラワー」で、ロスフラワーを使ったピアスやミニブーケなどを販売しました。
「お花にもロスがあることを初めて知って驚く方も多くいらっしゃいました。ロスフラワーの存在に関心を持ってくれて、作品も“可愛い”と手にとってくださる。本当にうれしかったです」
(髙橋さん)
ロスフラワーには勇気や希望を与える力がある
「ロスフラワー」という言葉はキャッチ―であるがゆえに、「可哀そう」というイメージや、「そんなにロスがあるんだ」というところばかりが強調されてしまいがちですが、新たな価値がついていくその過程が美しいと髙橋さんは話します。
「捨てられてしまう予定だったお花が、アートな価値を持ってこんなに美しい姿になるというストーリーは、素敵です。
それにこの過程が、少し前までキャリア迷子で価値がないと思っていた自分ともオーバーラップして、すごく勇気をもらえるんです。勇気や希望を与えることができるロスフラワーには、大きな力があると思います」(髙橋さん)
“もっと気楽でいい”私たちが未来のためにできること
髙橋さんのブランド「きらくにフラワー」のコンセプトは「2年後の未来が変わるかもしれないお花屋さん」。
お花は、どこか日常生活からちょっと離れたところにあるもののように感じている人も多いため、“もっと気楽でいいんだよ”“お花を買うという小さなアクションが未来に繋がっているかもよ”という優しいメッセージが込められています。
日常からちょっと遠いところにあるように感じるという点は、もしかしたらお花もSDGsも同じかもしれません。
「何かひとつでもいいんです。サステナブルだからという理由ではなく、可愛いからとか肌触りがいいからとか、自分の生活に取り入れたらなんかよさそうとか、そういう理由でサステナブルなものを取り入れられたらいいですよね。きっとそれが10年後20年後に繋がっていくと思います」(髙橋さん)
お話を伺ったのは…髙橋 響さん
旅するフラワーサイクリスト
RIN公認 フラワーサイクリスト・アンバサダー
現在はロスフラワーを使い、ワークショップやイベント、店舗や撮影のスタイリングなどを行う。今後は仕事の幅を広げていく予定。
自身のブランド「きらくにフラワー」では、“気楽に取り入れてほしい”との想いから、可愛いピアスや、持ち帰ってそのまま飾れるようなドライブーケなどを多く販売している。