メール返信の基本マナーを身につけよう
「上司や取引先からメールが届いた!返信しなきゃ…」
ビジネスメールの文章って、敬語だったり謙譲語だったり言葉遣いも難しくてついつい悩んじゃいますよね。
“ビジネスメール”には基本的なマナーがあり、そのマナーにきちんと沿ったメールを送ることで、ビジネスマンとしての常識や能力をアピールすることにもつながってくるんです。
今回はビジネスシーンにおいて、メールを返信する際にはどんなことに注意すればいいか、特に大切な4つのポイントを解説していきます!
なるべく当日に返信する
ビジネスメールは、できるだけ早めに返信することが基本です。少なくとも、当日中には返信するように心がけましょう。
メールの返信が遅いと、送信した人の多くは“自身を軽んじられている”と感じてしまうんだそう。また、「だらしない人だ」「仕事を任せられるか不安」など、ビジネスマンとしての評価が下がることも…。メールの返信は、ビジネスでの信頼関係に大きく影響するのです。
自分だけでは判断できない内容であったり、会議や出張中ですぐ確認できなかったりという場合は、メールを受け取った旨のみを取り急ぎ返信するだけでも、相手の抱く印象が大きく変わりますよ。
「上司に確認後、再度メールいたします」「○日にはお返事できる見込みです」など、改めてメールすることを先に伝えておきましょう。メールの自動返信機能を活用するのもおすすめです◎
送信時間に配慮する
ビジネスメールを送信する際には、送信時間にも注意が必要です。早く返信することが好ましいといっても、相手の職場の業務時間外や休日に送ることは失礼にあたってしまうんです。
一般的な企業が定時に設定している、17~19時頃までに送信するのが無難です。どうしても遅い時間や休日に送らざるを得ないメールには、「夜分に失礼いたします」「お休み中、申し訳ございません」などと一言添えておきましょう。
夜中や休日のメールは、相手に業務時間外の対応を迫ることになりかねないのであまり印象が良くありません。
さらには、自身の会社が遅い時間までの残業や休日出勤を行なっていると認識されてイメージダウンにつながったり、業務時間外のやり取りが増えて負担になったりというデメリットも。
「返信不要」とあっても基本的には返信する
メールの中には、表題や本文の最後に「返信は不要です」と記載されているものがありますが、基本的には返信するのがおすすめ◎
簡単な確認や情報の伝達が目的のメールであれば、返信する必要を感じないかもしれません。しかし、返信することで、相手に「メールがちゃんと届いた」という安心感を抱いてもらえるんです。
また、律儀で礼儀正しいという印象を持たれ、信頼度を高められるメリットもあります。特に、社外の取引先や上司に対しては、一言でもよいので返信メールをしておくとよいでしょう。
「CC」メールは返信が必要な場合がある
CCでメールを受け取った場合、多くの場合は返信不要です。ただし、場合によっては返信が必要なこともあるので注意してくださいね。
CCメールのCCとはカーボンコピーの略であり、複製という意味を持ちます。そのため、メールで使用すると、「同じメールをCCに入れた人も確認しておいてほしい」という意味合いとなるのです。
直接メールを送られた『TO』の人が返信をすることは当然ですが、中には、CCに入っている関係者にも確認のメールを求める場合も。
CCメールを受け取った人物も、メールに目を通したことを示すために、「内容を確認しました」程度のメールは返信しておくとよいでしょう。
メール返信で押さえておきたいポイント
メールの返信時は、送信のタイミングや返事の有無のほか、メールの内容そのものについてもマナーを守る必要があります。メール返信で押さえておきたいポイントをチェックしておきましょう!
件名は書き換えない
ビジネスメールにおいては、同一の話題についてやり取りをする場合、件名は書き換えないことが基本です。件名には返信を示す『Re:』が連なりますが、そのままで問題ありません。
ビジネスメールではやり取りの記録を残したり、後で見返したりすることが多々あります。そのため、件名を変えず『Re:』の状態にしておいた方が、メールが検索しやすくなるので便利なんです。
メールの件名は、話題が変わったタイミングで書き換えるようにしてくださいね。
引用方法は用途によって使い分ける
過去のやり取りをメール文に載せる引用は、相手からの質問に回答する場合や、内容に補足をしたい場合などにとっても便利です。
過去のメールを下にすべて載せる『全文引用』を使うと、これまでのやり取りを確認する手間が省けます。その反面、メール全体が長文になるので、人によっては煩わしさを感じることもあるかもしれません。
一方、相手の質問や特定の文章だけを載せる『部分引用』は、必要最低限の内容を押さえた簡潔なやり取りが可能です。ただし、引用部分を省略することで、誤解を招いたりわかりにくくなったりするというデメリットも。
部分引用を使う際には、引用した文章が一目で分かるように『>』という記号を使用しましょう。
全文引用と部分引用は、ケースによって適切に使い分けることが大切ですよ。
メールの型をおさらいしておこう
ビジネスメールのマナーはある程度押さえられても、「いざ自分でメールを書こうとすると手が止まってしまう」という人も多いのでは?ここでは、メールの作成時に困らないよう、基本のビジネスメールの型をおさらいしておきましょう。
宛名
メールの1行目には、誰に宛てたメールか一目で分かるように、宛名を入れましょう。特にビジネスメールでは、企業名や部署名など、相手の所属を正式名称で記載する必要があります。
記載の順番は、①企業名、②部署名、③役職、④氏名です。長くなりそうなら無理に1行で書こうとせず、適宜改行するのがおすすめ。
送る相手の名前が分からない場合は、「○○部署 ご担当者様」と記載すれば大丈夫です。しかし、「株式会社〇〇 課長様」と役職に敬称を付けるのは誤りなので注意してくださいね。
挨拶と名乗り
本文に入る前に、挨拶と名乗りを入れましょう。挨拶は、社外であれば「いつも世話になっております」でOKです。社内の人に対しては、「お疲れ様です」を使えば問題ありません。
そのほか、久しぶりに連絡する人には「ご無沙汰しております」、初めて連絡する場合は「初めてメールをさせていただきます」という挨拶文がおすすめです。
社外の人に対しては、企業名や部署名も名乗りに入れる必要がありますが、社内の人へのメールであれば、部署名と名前だけで大丈夫ですよ◎
要旨と詳細
本文では、先に要旨を書いてから詳細に入るようにしましょう。流れとしては、メールの内容を簡単にまとめた後、具体的に詳しく書くといった感じになります。
いきなり詳細を書き連ねてしまうと、読む側はわかりにくさや煩わしさを感じてしまうでしょう。
要旨は、箇条書きなどを使ってわかりやすく簡潔にまとめます。詳細についても、あまり長文にならないよう注意が必要です。「何を伝えたいのか」「相手に何をしてもらいたいのか」などを、はっきりと記載するのがポイントです。
結びの挨拶と署名
ビジネスメールの最後には、結びの挨拶と署名を記入します。結びの挨拶はいろいろありますが、「何卒よろしくお願い申し上げます」「引き続きよろしくお願いいたします」などが一般的ですね。
返信など何かやってもらいたいことがある場合は、「ご多忙の中恐縮ですが、ご協力いただけますと幸いです」「お忙しい中恐れ入りますが、お返事をお待ちしております」といった文面を用いるのがおすすめです。
署名は、メールの差出人が誰なのかが詳細にわかるように記載します。企業名や部署名、名前はもちろんのこと、会社の住所や電話番号、FAX番号、メールアドレスなどの連絡先も入れておきましょう。
取引先からのメールに返信する際の例文
ビジネスメールの基本的なルールは分かっても、初めて自分でメールを作成する際には、具体的にどんな文章を書けばいいのか不安になる人も多いはず。
ここでは、取引先からメールを受け取ったという設定で、ビジネスメールの例文を紹介していきます。ぜひ、参考にしてみてくださいね。
日程変更や調整メールの場合
取引先とアポイント設定するなかで、日程変更や調整を行なうことがあります。その場合、相手からの調整依頼か、自分からの調整依頼かによって、メールに書く内容が異なるので注意が必要です。
相手からの調整依頼メールに返信する場合、本文の例は以下の通りです。
「日程変更の件、承りました。
ご希望いただいた日時のうち、6月18日の10時であれば伺うことが可能です。
場所は、貴社○○会議室でよろしいでしょうか?
ご都合をご確認いただき、ご返信いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。」
自分の都合が悪くなって再調整を依頼する場合は、以下のような内容でメールを送りましょう。
「先日ご相談した○○のお打合せの件ですが、同席予定の担当者の都合により、大変恐れ入りますが、日程変更をお願いしたく存じます。
6月18日10時~、21日14時~、22日13時~
いずれかの日時に変更させていただけませんでしょうか。
場所は、弊社○○会議室です。
上記でご都合が合わない場合は再度調整いたします。
こちらの都合で申し訳ございませんが、何卒よろしくお願いいたします。」
会食のお礼メールの場合
取引先と会食を行なった場合に送る、感謝のメールの例文も覚えておきましょう!お礼のメールは、+αで相手にまつわるエピソード等を添えると、相手のことを思って書いたのというのがより伝わりやすくなりますよ。
「先日はお忙しい中、弊社の食事会にご参加いただきまして、誠にありがとうございました。
○○様の営業職時代のお話は、今の私にとって大変励みとなりました。
また次の機会には、続きのお話をお聞かせいただければ大変うれしく存じます。」
また、相手から先にお礼メールを受け取った場合は、メールに対する感謝の言葉も入れておきましょう。
「ご丁寧なお礼のメールを頂戴しまして、誠にありがとうございます。
先日の会食では貴重なお時間を頂き、誠にありがとうございました。」
上司からのメールに返信する際の例文
上司は、特にビジネスメールのやり取りをする機会が多いものです。社内の関係者とはいえ、上司と部下という礼儀をわきまえたメールを送ることが大切。
上司からのメールに返信する際の具体的な例文を、ケースごとに紹介します。
日程変更を承諾する場合
上司からの日程変更メールに承諾する際、内容に問題ないことが一目で分かる返事をしましょう。なおかつ、上司という目上の人に対してふさわしい言葉使いを意識します。
上司や取引先など、自分より目上の人に了承の旨を伝える際は、「承知いたしましたが適切ですよ。
「お疲れ様です、○○部署の○○です。
表題の件、承知いたしました。
それでは、打ち合わせの日時は6月18日の13時に変更でよろしくお願いいたします。
ご連絡いただき、ありがとうございました。」
ねぎらいメールの場合
上司からのねぎらいメールには、できるだけ早めに返信することが大切です。業務関連のメールが最優先ではありますが、午前中にねぎらいメールが来たら午後までには返す、くらいのスピード感がよいでしょう。素早い返信は、相手に感謝と喜びを伝えられますよ。
自分を気遣ってくれる上司に対するメールは、素直かつ謙虚な、部下らしい言葉遣いが理想です。
「お忙しい中、ありがたいお言葉を頂きましてありがとうございます。
今回の大型受注は、ひとえに○○部長をはじめとする社内の皆様にお力添えいただいたおかげであると、大変感謝しております。
今後も変わらぬご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。」
訃報メールの場合
上司から訃報のメールが届いた場合は、目上の人への敬意を払いつつも、故人に思いを寄せる言葉を選びましょう。
特に、『忌み言葉』を使わないように注意が必要です。死や苦しみといった言葉や、わざわざ・いよいよといった『重ね言葉』、4や9など忌み嫌われる数字を含む言葉は避ける必要があります。
「○○部長のお母様の訃報を知り、突然のことで言葉が見つかりません。
心より哀悼の意を表します。
あまり無理をなさらないよう、私にできることがありましたら、どうぞお声がけください。
お母様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。」
退職や異動の報告メールに返信する際の例文
会社で働いていると、社内外を問わず、退職や異動の報告メールを受け取ることは多々ありますよね。
相手との関係性によって、メールに込める内容は異なるものです。特に身近な人であれば、自分と相手ならではの心のこもったメールを送りましょう!
退職メールの場合
退職者からの報告メールに返信する場合は、メールのお礼とともに、これまでの思い出や別れを惜しむ気持ち、退職後の活躍を祈る気持ちを盛り込んでおきましょう。
ただし、親しい仲であったとしても、退職理由を踏み込んで聞いたり、直接報告されなかったことに文句を言ったりすることはマナー違反ですよ。
「お忙しい中、退職のご挨拶を頂きまして誠にありがとうございます。
○○様には、新入社員の頃からビジネスのいろはを教えていただき、私にとって頼りになる大きな存在でした。
これまで、大変お世話になりありがとうございました。
これからは○○部署に○○様がいないということを大変寂しく思いますが、退職後の新たな道で活躍されることを心よりお祈り申し上げます。」
異動メールの場合
異動を報告するメールは、社内の関係者に対してはもちろん、取引があった社外の人物にも送信されます。どちらにしても、異動メールを受け取ったお礼と、在任中にお世話になったことへの感謝、異動先での活躍を願う言葉を盛り込みましょう!
取引先からのメールに対する返信例は以下の通りです。
「ご多忙の中、ご丁寧に異動のご連絡を頂きまして、誠にありがとうございます。
○○様に弊社をご担当頂いたことで、素晴らしいお仕事を多くさせて頂きました。
新しい部署におかれましても、○○様のご活躍をお祈り申し上げます。」
社内の異動メールに対する返信例は以下の通りです。
「異動のご連絡を頂きまして、ありがとうございました。
○○部署でご対応くださる○○様には、いつも迅速で丁寧なサポートをしていただき、頼もしい限りでした。
新しい部署に異動されましても、ますますご活躍されますようお祈りいたします。」
ビジネスメールのNGポイント
ビジネスメールを送る際には、マナーとして避けておきたいポイントがあります。どのポイントにも共通しているのは、相手に正しくメールを送ることと、相手に不快感を与えないことです。
ビジネスメールのNGポイントを解説します。
HTMLメールを使う
メールには、『テキストメール』と『HTMLメール』の2種類があります。ビジネスメールの場合、HTMLメールを避けることがマナーです。
HTMLは背景や文字の色を変更したり、画像を入れたりと表現の自由度が高いメール形式です。そのため、広告効果を狙う企業からのメールマガジンでよく見られます。
一方で、HTMLメールにはウイルスを仕込まれることがあります。ビジネスでは使用を避けるよう勧告されたり、外部からのHTMLメールを迷惑メールとして削除したりしているケースもあるのです。
段落や読点が少なく読みにくい
段落や読点の少ないメールは読みづらく、相手に対して不親切な印象を与えてしまいます。メール本文では、文章の意味が途切れない程度に区切りの良いところで読点を入れ、読みやすいように工夫しましょう。適度に段落分けもすると、内容がまとまって見えるので効果的ですよ。
また、専門用語を使用することは避けましょう。メールを受け取る相手が専門知識に詳しくない場合、正しく意味が伝わらないばかりか、ひたすら自分の知識をアピールしているように感じられてしまう可能性も…。
大切なことは、相手にわかりやすく、正しい情報を伝えられるメールを心がけることですよ。
正しい敬語が使えていない
ビジネスメールで正しい敬語を使えないと、相手からの信頼を得ることは難しくなってしまうかもしれません。社会人としての常識がない人に、重要な仕事を任せるのはなんだか不安ですよね。また、そのようなメールは、相手に不快感を与えてしまうことも。
正しい敬語を使うには、尊敬語・謙譲語・丁寧語の3つを、場面に合わせて正しく使いこなすことが重要です。
目上の人への「いらっしゃいます」「おっしゃる通りです」、自分がへりくだるときの「伺います」「参ります」、文末の「です」「ます」など、よく使われる表現を頭に入れておきましょう!
メールの返信は相手や状況に合わせて送ろう
ビジネスメールは、なるべく早く返信することが基本マナーです。返信時の件名や引用の扱いなどは、相手がメールを受け取ったときにわかりやすいよう配慮しましょう。
ビジネスメールの決まった型を守りつつ、取引先や上司からさまざまなシチュエーションで送られてくるメールに、臨機応変に対応するようにしてくださいね。
ビジネスメールのポイントを押さえ、相手や状況にあった適切なメールを送ることができれば、仕事における信頼度も高まりますよ。