確かにそこには名のない青春があった。中高生がすぐ見つけられる春夏秋冬アオハル
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確かにそこには名のない青春があった。中高生がすぐ見つけられる春夏秋冬アオハル

小説に出てくるような特別な青春だけが「青春」じゃない。ボーッとしてると見過ごしてしまいそうな、ありふれた日常に潜んだ青春こそ、数年後には恋しくなったりする。新しい教科書の香りに期待した春、プール後にうとうと眠くなった夏、ワクワクした修学旅行初日の夜の秋、一年間の受験生を全うした冬、一年中「名のない青春」はあるはず。

更新 2021.01.12 公開日 2021.01.12
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青春のハードルは高くない

無理して青春を探さなくてもいい。

なにも無理矢理バンドを組む必要もなければ、苦労の絶えない大恋愛をする必要もないし、何か特殊な能力を手に入れて地球を救う必要もない。

学校を卒業して数年経ったら分かるはず。
──名のない青春こそかけがえないことに。

些細なことすぎて小説の題材にもできないような、名前のつけられない青春こそ、数年後になって恋しくなったりするものだ。

実際にその最中にいると、案外気付けなかったりする。日常のどんなシーンに、その時しか体験することのできない「名のない青春」があるのか。きっと、一年中あるに違いない。

[春]新しい自分に期待していて

新しい教科書の香りに期待した時

新学年になると配られる、新品の教科書。
(本当にこれ全部使うの……?)なんて訝しがりながら、大人しく家に持ち帰った始業式。

あの新しい教科書特有の香りが好きだった人もいたはず。本を開いて顔に近づけ、スーッと息を吸ってみたり。新品の香りで勉強のモチベーションが高まった時もあった。

初期の席順で仲良くなった時

特に新入生の時なんて、最初に声をかけることができる同級生は最初の席順の前後左右。

プリントを前から後ろに配る時がチャンス。 机からシャーペンを落とした時がチャンス。 ドキドキしながら自分から声をかけるあの経験は、後から思えばすごく輝かしかったり。

健康診断の前日に夕飯を控えたり

新学年になったばかりの頃に行われる、健康診断。身長や体重、視力などが洗いざらいわかってしまう日。

友人と健康診断の前日に「明日少しでも体重軽くするためにご飯控えめにする」なんて言い合ったり。
はたして、ご飯を控えめにした効果が本当にあったかどうかなんて本人にも分からないけれど。

[夏]汗ばむけど嫌いじゃない

暑い体育館で終業式をした時

「広くない体育館に全校生徒が集えば、そりゃ暑苦しくも感じるよな」と思ってしまう終業式。

クラスメイトが何かの大会で表彰されて盛り上がったり、聞き飽きた‘夏休みの過ごし方’を再び聞いたり、いまだにうろ覚えな校歌を歌ったり。

待ち受けている夏休みへの高揚感で、暑さもほんの少しだけ紛れる気がした。

制汗剤の香りで気になる人に気付いた時

「シーブリーズ」や「8×4」など、みんな思い思いの制汗剤を使っていた。

仲の良い人なら、誰がどの制汗剤のどの香りを使っているかなんて、とっくに把握済みで、特に好きな人のそれはすぐに覚えていた。

制汗剤の香りで気になる人の存在に気付く経験。大人になってからはなかなか味わえない瞬間。

プール後の授業がとても眠かった時

夏の体育の花形といえばプールだ。

しかし、水中で体を動かすのはどうやらすごく体力を使うみたいで、プール後はとても眠くなってしまう。開けた窓から入ってくる爽やかな風がひどく心地よくて、更に眠気を誘う。

普段は髪を結んでいるあの子が、髪を乾かすために下ろしている姿にドキっとすることも。

[秋]ひどく過ごしやすい香りがして

修学旅行初日の夜にワクワクした時

来てほしくないような、楽しみのような、修学旅行。荷造りが面倒だけど、いざ朝集合すれば既に楽しかったりする。飛び込むまで面倒で腰が重たいのが非日常だ。

放課後まで一緒に過ごしたり、夕飯を食べたりしたことはあっても、クラスメイト全員と夜を過ごすことはなかった。初日の夜のワクワク感はどう形容したらよいのだろう。

普段と違う友人たちの姿に、不意を突かれたり。

制服の衣替えでときめいた時

夏服はそろそろ肌寒くて、長袖のワイシャツが必要になってくる季節。ブレザーのジャケットの重たさが、なんだか懐かしい。

気になる彼の、久しぶりに見たブレザー姿にドキッとするのも毎年の風物詩なのに慣れない。
どうして気になる男の子のブレザー姿やスーツ姿って、こんなにもときめくのだろう。

体育祭帰りで早くお風呂に入りたい時

高揚感が冷めやらない体育祭。
優勝を称えた同じ色のチームの皆と別れるのが名残惜しくて、校庭や学校の外で皆と写真大会。

けど、いざ解散すると早くお風呂に入りたくてたまらない。何回も塗り重ねた日焼け止めや、砂と汗が混ざった汚れ。

さっきまで気にならなかったのに、不思議だな。

[冬]寒さすらスパイスだった

最終下校の時刻を過ぎてから校舎に入った時

どうしても明日までに終わらせなくちゃいけない宿題があって、最終下校は過ぎてるけど早足で校舎に入った放課後。

昼間はガヤガヤ騒がしかった校舎も、今は静まり返って違う顔をしている。
先生に見つかった時の言い訳なんて考えながら、早足で忘れ物を取りに帰る経験も、一回すれば充分だ。

バレンタインで好きな人だけ特別にした時

彼氏だったり、両想いが確実だったりすればいいものの、人生そうはうまくいかない。

片思いだったり、ちょっと気になるような相手に「本命」だと分かりやすいような豪華なチョコは作れないのだ。一番上手にできたチョコを厳選して、ラッピングも他のどれよりも一番気合が入る。

そうやって一番気合を入れたチョコを渡す時の緊張感は、今思い出しても生々しい。

受験生を一年間全うした時

SNSや誘惑を排除して、一年間何かに没頭する経験なんて簡単にあるものじゃない。

‘天王山’なんて形容される夏休みを乗り越え、学校や塾の先生に励まされた受験直前期。
苦い経験も多いかもしれないけれど、全ての経験が無駄じゃなかったと思えれば、それでいい。

見逃してしまいそうな青春ばかり

あまりに日常すぎて、特別視すらしてこなかった青春。
きっと後から恋しくなるから、今それを噛みしめられるのならば噛みしめといた方がきっといい。

確かにそこには名のない青春があるはずだ。

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