始まりは2人で、終わりは1人

「別れよう」
好きだからこそ、
君が何を言おうとしているかわかってしまうのも辛いね。
何となく、こんな日が来るのはわかってたから構えてはいたけれど、心が苦しくて痛い。

「別れたくない」
強がってその一言が言えなかった。君のことだからもう気持ちを固めていて、何を言ったって意味がないのもわかってる。
だからせめて、君が後悔するくらいの女になるよ。
私が計算高い女だって知ってるでしょう?
幸せだった時間は変わらない
好きだから、手を離す

「どうして?」
別れの理由は聞いておこう。
私の問題なのか、君の問題なのか。
どっちが悪いだとかそういう話じゃないけれど、理由を聞かなきゃ直すこともできないし、次に進めないから。

「そっか、今までありがとう。幸せだったよ」
過ごした時間は決して無駄じゃなかった。
例え今はそう思ってなくても、いつかそう思うときがやってくる。

強がりだってわかってるけど、
最後くらいいい彼女でいたい。
笑ってお別れしよう、いい思い出にするために。
嫌な女になりたくないのは自分のためだよ

「どうして別れたの?」
心配半分、興味半分。たぶんそんな感じ。親しい友人には話したけれど、サークルや部活の仲間、クラスメイトには言わないよ。
だってこれは私と彼との問題。

悪口だって言わないよ。
言ったら後悔するってわかってるから。
振られたからってそんな安い女じゃないの。

それに彼を売るようなことはしたくない。
もう終わっていても、好きだった人にかわりはないから。
これは君のため、というより自分を嫌いにならないためなんだ。
SNSはしばらくおやすみ

SNSはしばらくおやすみしよう。
なんだかネガティブなことを書いてしまいそうだし、友達の投稿に写っている君を見たら気持ちが溢れてしまいそうだから。

でも、誰にだって吐き出したくなるときはある。
そんなときは誰にも見られないアカウントや日記にこっそりと。
書いて、消して、書いて書いて。
気持ちを整理するんだ。

写真も整理しないと。
削除する手が進まないなら友達に手伝ってもらうのもありだよね。
前に進んでいる私にきっと協力してくれるから。
逃した魚は大きかったって言うでしょ?

ほら、よく言うでしょ?
逃した魚は大きかったって。
少しずつだけど私の毎日がまたキラキラと輝き出したんだ。

君に充てていた時間は、自分に投資する時間に変わった。
資格や語学、
将来や自分のために投資する時間はすごく有意義。
知らなかった世界が広がった気分。

化粧も少し変えて、洋服も君好みから幅を広げてみた。
ふわっと香るフローラルの香りは新しく買った香水。
交友関係も広くなって、新しい出会いもあった。
もう、君の影をまとう私はいない。
振り返ってももういないよ
「お前が振ったあの子、どんどん綺麗になっていくね」
なんて彼の友人が言っていたのが聞こえた。
振り返ってももう私はいないよ。
手を離したのはどっちだったのかな。